青い目が災いを跳ね返す──トルコのナザール・ボンジュウ
幸運を呼ぶ青の護符
トルコをはじめとする中東・地中海沿岸の国々では、
青い瞳の護符「ナザール・ボンジュウ(Nazar Boncuğu)」が
災いや嫉妬を退けるお守りとして知られています。
丸いガラスの中に青と白と黒の円が重なったデザイン。
まるで「目」がこちらを見つめているように見えるのが特徴です。
この見つめ返す目が、悪意ある視線=邪視(evil eye)を跳ね返すと信じられてきました。
起源と背景
「邪視(evil eye)」の信仰は、紀元前の古代メソポタミアやギリシャにまで遡ります。
「人の嫉妬や羨望には、無意識の破壊力がある」とされ、
その悪意を防ぐための象徴として「目」が生まれたのです。
特にトルコでは、青色が「水・空・神の眼」を象徴し、
清らかさと守護の力を持つと考えられてきました。
ガラス細工のナザールは、
オスマン帝国時代にイーゼミル(現イズミル)周辺の職人たちによって広まり、
現在では家や車、子どもの服、アクセサリーなどに飾られる国民的お守りとなっています。
現代風アレンジ:ナザール・チャームの護りリチュアル
ナザールの思想は、現代でも「悪意を意識に入れない」ためのセルフケアとして活かせます。
🔹準備するもの
・ナザール・ボンジュウ(または青いガラス・青い石)
・青い布か紐
・静かな場所
🔹やり方
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手にナザールを持ち、深呼吸を三回。
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「私は他人の視線に揺れず、自分の光で立つ」と心で唱えます。
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ナザールを青い布や紐で包み、玄関や鞄など“出入りの場所”に飾ります。
この行為は、他人の意識から距離をとる「心の結界」をつくるリチュアルです。
大切なのは、「守る」ではなく「自分の軸を信じる」意識です。
象徴と意味
青は「静けさ」「真実」「神聖」を象徴します。
古代では「天と水の境界を守る色」とされ、
目のモチーフは「洞察」「知恵」「魂の鏡」と結びつけられました。
つまりナザールとは、
外の悪意を見抜き、内の平穏を守る目なのです。
実践の心得
ナザールは「恐れ」ではなく「信頼」の象徴です。
不安を感じるときほど、「自分を見守る青」を意識してください。
それは他人を拒むための目ではなく、
自分を見つめ返すもう一つの瞳なのです。

守るとは、閉じることではなく、光を忘れないこと。
あなたへ
ナザール・ボンジュウは、
人の心の中にある穏やかに跳ね返す力を形にしたお守りです。

青い瞳は、恐れではなく、静かな強さの色。