塩の守りで邪気を祓う──日本の清めの儀式
心と空間を整える『お清めの智慧』
日本では古来より、塩は清めと守りの象徴とされてきました。
神社の参道や相撲の土俵、葬儀のあとにも塩がまかれるのは、
穢れ(けがれ)を祓い、場を整えるためです。
塩は「海の恵み」であり、生命を育む力を持つもの。
その自然の力を借りて、心身の穢れや疲れを清める・・・・
それが日本に伝わる『お清め』のおまじないです。
起源と背景
神道では「祓い清め」が信仰の根幹にあります。
塩は海水の結晶であり、海=生命の源=再生の象徴として扱われてきました。
古事記にも、神々が禊(みそぎ)によって穢れを落とす場面があります。
また、塩を用いた清めは平安時代の宮廷儀礼にも登場し、
現代に至るまで神社・家庭・商業の場に広く浸透しています。
特に「盛り塩」は、平安貴族が災厄を避けるために
玄関や部屋の四隅に置いたことが起源とされています。
やがて商家では「福を招く」「客を呼ぶ」縁起ものとして広まりました。
現代風アレンジ:盛り塩リチュアル
現代でも、塩は簡単にできる浄化アイテムです。
宗教的儀式ではなく、空間と気分を整える心の習慣として取り入れてみましょう。
🔹準備するもの
・天然塩(粗塩が理想)
・白い皿または小皿(ガラスでも可)
・ティースプーン1杯分の塩
🔹やり方
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清潔な場所で、塩を小皿に円すい状に盛ります。
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玄関・寝室・仕事机のそばなど、気になる場所にそっと置きます。
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置くときに、心の中で「この空間が清らかに整いますように」と唱えます。
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3日〜7日を目安に新しい塩と交換し、使い終えた塩は水に流します。
置くことよりも大切なのは、意識してリセットする時間をもつこと。
その瞬間、空気と自分の心が同時に澄んでいきます。
象徴と意味
塩は「吸い取る力」「整える力」「再生の力」を併せ持つ物質です。
湿気を吸うように、滞った気や思考を吸収してくれると考えられています。
白い皿は純粋さを、円形は調和を意味します。
それを玄関や寝室に置くことは、
良い気を迎え入れる準備そのものなのです。
実践の心得
お清めは「悪いものを追い出す行為」ではなく、
心を整える習慣として行うのがポイントです。
塩をまくのではなく、丁寧に置く。
怒りや不安を感じたときほど、静かに盛り塩を取り替える。
その繰り返しが、暮らしのリズムを穏やかに整えてくれます。

清めとは、捨てることではなく、感謝して新しくすること。
あなたへ
塩のおまじないは、
大げさな儀式ではなく、日常に小さな神聖を取り戻す方法です。

塩の白さは、心の透明さ。
今日の空気を、今日のうちに整えてあげましょう。